2018年10月24日

元祖世界一周男14

金澤さんに、”オジンの旅とロマン” を再開してもらう。


「南アフリカ経由でケニアの首都ナイロビに行きました。
野生のライオンを見ようとキリマンジャロの麓にあるアンボセリ国立公園で数日間過ごしたのですが、偶然ライオンがシマウマを襲い、ムシャムシャ食べるのを目撃、自然界の厳しさを垣間見る思いがしました。」


これはすごい。

テレビで見たことはあるけど、目の前でこの光景を見たら、しばらくショックでおかしくなりそうだ。


「ヨーロッパでは約二十日間、ユーロレイルパスを使い鉄道での旅でしたが、どこへ行っても日本人観光客の多いのにはビックリしました。
最後はパリからモスクワ経由で帰国したのですが、いろいろな国を訪れ、いろいろな人たちと言葉を交わしてみると皆とても優しく親切、よく聞く盗難や恐怖物語など私には無縁な話でした。一人旅の寂しさも十分味わうことができ、振り返ってみて、嫌な思い出もなく楽しいことばかりでした。
バスの中で知り合い、一日中リマ市内を案内してくれたマルコという名のおじさん、土砂降りの雨の中、びしょ濡れになって一生懸命安いホテルを探してくれたバルセロナのタクシーの運転手さん・・・・・今も元気でやってるかなと思う時、同じ地球に住む人間同士、国境を越えて仲良くやっていきたいものだと思うこの頃です。」


こうして、金澤さんは話し終えた。

”オジンの旅とロマン”  34年前、こんなことをしていたなんて。

「またやりたいと思いますか?」と聞いた。

「いや、全然思いません」という答えが返ってきたのは、意外だった。





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2018年10月20日

元祖世界一周男13

今日もまた、金澤さんにジムでじっくり話してもらう。


「前回までで私の世界一周一人旅を思いつくままに紹介してまいりましたが、大好きなアメリカにもいよいよ別れを告げマイアミからペルーへ、インカ帝国の遺跡マチュピチュを見に行くことになりました。
しかし行ってみるとちょうど独立記念日にぶつかって大変な人出、しかも持っていたチケットの航空会社ストライキをやっていたため残念ながら行けず、数日間リマ市内をぶらつきブラジルのリオデジャネイロへと向かいました。
ご存知の通りペルーはあまり豊かな国ではありません。街を歩くと物もらいや物売りの多いのにビックリしますが、人々は穏やかでとても親切です。特に日本人に対し親近感、いやそれ以上の感情を持っているように感じました。多分日本人移民の成功が基盤にあり、この国を動かしているのかもしれません。普通外国に行くと中国人か?韓国人か?とまず聞かれますが、頭から日本人かと聞かれるのは、今回廻った国の中ではペルーだけでした。」


アメリカから南米に行き、次はどこに行くんだろう。

一旦休憩してから、続きを話してもらうことにした。




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2018年10月19日

元祖世界一周男12

今日はジムで、金澤さんから話を聞くことにした。

やはり、じっくり話してもらうには、ここが一番だろう。


「アメリカはとにかく広大です。
私の一人旅も日本を発ってからはや二十三日が過ぎました。持参した”地球の歩き方”という観光案内書を頼りに安い宿に泊まるのですが、観光の仕方としては、泊まったホテルのフロントで日帰り観光バスツアーを申し込み、参加するするのが一番手っ取り早く簡単な方法です。アメリカではガイドがほとんど英語で案内しますが、ヨーロッパではさすがに世界各国から観光客が来ているとみえ、英語、フランス語、スペイン語など言語ごとバスに分乗する方法などありましたが、一人で5ヶ国語くらい話すガイドもおりました。しかし残念ながら日本語を話すガイドにはお目にかかれませんでした。ただ、パリ市内観光バスには録音された案内をイヤホンで聞く装置が各座席についており、それには日本語が、またスイスの登山鉄道の車内放送にも日本語の説明がありました。
ラスベガスではちょっと奮発してナイトクラブ巡りツアーに参加したのですが、タキシードを着てる人、カクテルドレスの女性の中に、私だけTシャツにGパン、運動靴と言うしょぼくれた格好でトボトボとついて行きました。
南半球は冬ですので、冬物セーター、ジャンパーなどでかさばり、夏物としてはTシャツ4枚、Gパン2本だけでとてもおしゃれをする余裕などなかったわけです。
グランドキャニオンの上をセスナ機で飛び、副操縦席から見る”これぞアメリカ”と言う雄大な景色に感激したり、ロッキー山脈をバスで越えたり、大好きなデキシーランドジャズを聞きにニューオーリンズに行きました。
移動は大変ですが、空港のロビーで大好きな演歌をラジカセで聞きながらこれから行く所はどんな所かな?などといろいろな思いを巡らせながら一人ポツンと飛行機を待っている時が一人旅の孤独とロマンを感じられる一番素晴らしい時間でした。」


34年前のことを、まるで2〜3年前のことのように話してくれた。





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2018年10月18日

元祖世界一周男11

今日は、金澤さんもお腹すいているというので、久米川駅南口の日高屋に来ている。

ここは、つい最近までコンビニだった。

金澤さんは、もつ煮込みラーメンを頼んだけど、思ったよりも辛くて大変そうだ。

でもおいしいらしい。

私は餃子を頼み、これがすごくおいしい。


前回モスで、英会話学校入って絶望的にできなかったことを聞いた。

じゃあ学校、つまらなかったのか。

通った意味なかったのか。

そんなことはなかったらしい。


「幸いなことにこの学校が素晴らしいところで、頭の堅くなったオジンを何とか一人で旅行出来るよう一生懸命教えてくれました。
それは杉並 高円寺にある FIA というところで授業以外にハイキング、クリスマスパーティーなど色々催し物があり、アメリカやカナダから来ている先生と一緒にビールを飲みながら、酔った勢いで英語らしきものをたどたどしく話すことにより、少しずつ外国人や外国語に対する恐怖心が薄らいでいきました。」


やっぱり人と人。

いい学校で良かった。

でも全ては、金澤さんの人柄が勝因だろう。




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2018年10月17日

元祖世界一周男10

今日も金澤さんに、世界一周の話を聞く。

ここは、久米川駅北口のモスバーガー。

メニューたくさんあるけど、なんだかんだ言って、スタンダードにモスバーガーが一番うまい。

正確には、モスチーズバーガーが一番好き。


街歩きでは、相当の距離を歩くこともあったみたいだ。

知らない街を歩くのに、特に名所や史跡などの見どころはなくてもいいと思う。

初めて見る街並み、行き交う人々の中にいるだけで、テンション上がってくるんじゃないだろうか。

懐かしそうに、金澤さんは話し出した。


「それにしても一人旅というのは気楽で、疲れると公園のベンチや木陰など涼しい場所を見つけては昼寝を楽しむことが出来ました。」


ちゃんと一人旅のメリットを活かしている。

そして、英語の勉強はどうだったんだろう。


「学校を卒業後二十年以上英語などは無縁の生活をしてきましたので、毎朝ジョギングが終わるとNHKの英語ラジオ講座を聴き、会社の帰りには近くの英会話学校に通いましたが、しばらくは何を言っているのかさっぱりわからず、ましてや話すなど夢のまた夢でした。」


誰だってそうだろう。

なんたって、日本にいる限り、全く必要ないから。

英語話せる意味がない。




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元祖世界一周男9

金澤さんと、久米川駅北口にある喫茶店、アベルに来ている。

ここのおいしいコーヒーを飲みながら、世界一周の続きを聞く。

前回、出発前の準備にやったことを聞いた。

体力をつけるために朝のジョギング、英語を勉強するため英会話学校。

真面目な人柄が出ている。

というよりも、今よりも海外旅行が特別なものだったことがよくわかる。

そしてまた、話を再開してもらった。


「旅先では出来るだけタクシーには乗らない方針でしたので、どこに行くにもつい歩いてしまうことが多く、また見知らぬ街をブラブラ歩く楽しみも加わり、日によっては相当な距離を歩いてしまう事もありました。
しかし翌日まで足の疲れが残らなかったのは辛くても頑張ったジョギングのおかげだと思ってます。」


知らない街を歩くのは、思いのほか楽しい。

体力は、あればあるだけ歩き回れるから、金澤さんの準備は的確だった。

続く






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2018年10月15日

元祖世界一周男8

「でも一番感謝しなくちゃいけない人は直ちゃんね。じゃあ乾杯!」

*直ちゃんは金澤さんの奥さん

吉見さんの音頭によって、34年の時を経た二度目のセレモニーが始まった。

小太郎も、仲間に入ってきている。

こうしてこの日は、おいしいブランデーを飲みながら、みんなで心を34年前の機内に飛ばした。

そして再び、金澤さんは話し始めた。


「一人旅(特に海外旅行)の面白い所は、誰にも気を使わずに自分の好きな事ができる事ですが、その反面相談相手はなく、頼れるのは自分自身だけです。
私にも夢にまで見た六十五日間の世界一周旅行のチャンスが訪れました。
計画当初から体力の増進と英会話の取得を心がけ、毎朝五時半に起き約三キロのジョギングを開始しました。慣れてしまえば走ること自体はどうということはなく、それよりも起きるということが一番の問題で、特に冬の期間は苦痛でした。」


ブランデーで心地良い気分になってきた。

だいぶ長い時間お邪魔してしまったので、今日はこのへんでお開きとなった。

小太郎バイバイ!

話はまた次に。

  続く



posted by kiuchi at 09:32| おじんの旅とロマン | 更新情報をチェックする

2018年10月13日

元祖世界一周男7

思いの詰まった、たった一人の乾杯セレモニー。

もう一度、その光景を想像する。

自然と私も、そのときの金澤さんに、乾杯していた。


「旅行が決まり、準備期間の辛いときなどは、この一人で飲むであろうブランデーの味を想像しては元気づけたものです。
当然のことながらこの光景は何百回となく頭の中で描いてきた訳ですが、実際は騒々しい機内とこれから先の旅の不安や別れてきた家族の事などで気持ちが落ち着かず、あれほど期待していたにもかかわらずさしたる感激がなかったのは少し残念です。
しかし不思議なもので今でもこのブランデーの味ははっきりと覚えています。」


ふと横を見ると、吉見さんがブランデーを持ってきていた。

「もう一度、乾杯しましょう! 」

  続く




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元祖世界一周男6

今日は、吉見さんの家にお邪魔している。

金澤さんは、私が着いた時にはもうすでに来ていて、小太郎と遊んでいた。

絶品パスタとピザをご馳走になり、もう満腹。

相変わらず、小太郎がかわいい。 *小太郎はトイプードル。

人なつっこくて、たまらない。

元気いっぱいに飛び回って、呼ぶと来てくれる。

癒されて、幸せな気分になったところで、金澤さんに話を始めてもらうことにした。

前回は、日本を飛び立った機内で一人、ナポレオンで乾杯したところまで話を聞いた。

それはここに至るまでの、様々なこと、思いに対する乾杯。

周りの人達に加えて、自分にも対する感謝の乾杯だった。

続く

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元祖世界一周男5

とはいえ、やはり金澤さんの人柄、日頃の行いが功を奏したのだろう。

相当仕事もしたと思う。

話はいよいよ、日本から世界一周の旅へ出発する。


「成田からハワイ経由でロスアンゼルスへ向かったのですが、水平飛行に移るやいなや免税店で購入したブランデー「ナポレオン」を「歯磨きセット」についている黄色いプラスチックコップに注いで一人乾杯しました。(こんな高級ブランデーを貰い物ならともかく自分で買って飲むなんておそらく最初で最後だろうなと思いながら)
これはついに夢が実現できた幸運と、気持ちよく二ヶ月もの休暇を与えてくれた社長や会社の人々、そして自分の家族など、支援して下さった方々に対する感謝と同時に、自分なりに努力してきたこの三年間にねぎらいを込めて前から決めていたたった一人のセレモニーでした。」


そのときの光景が、思い出されたのかもしれない。

話は止まり、金澤さんの目は、しばらく遠くを見つめていた。

気づいたら、夕日が差している。

思ったよりも、時間が経っていたみたいだ。

今日は、これぐらいでいいだろう。

お礼を言い、次の約束をして別れた。

  続く




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2018年10月12日

元祖世界一周男4

 ”オジンの旅とロマン” は34年前の1984年、金澤さんが44歳の時に遂行された。

これは何がすごいって、まず時代。

その頃海外旅行って、まだそんなに一般的ではなかったんじゃないだろうか。

あまり知らないから、想像だけど。

だってプラザ合意前で、ドルも高かっただろうし、バブルだってまだ先だ。

そして年齢。

金澤さんは、ずっと会社員だったはず。

44歳って、現役バリバリで、最も世界一周なんて非現実的な時に思える。

なによりも、奥さんがいて子供もいる。

離婚されてもおかしくない。

なんていい奥さんなんだ。 

夢を叶えさせてあげて、直ちゃんは最高の奥さんだ。

  続く




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元祖世界一周男3

「44歳の時でした。 ”オジンの旅とロマン” ですよ。」

金澤さんは、静かに語り出した。


「いつかある日、どこか遠くの見知らぬ異国を一人で旅してみたいと考えている人は多いと思いますが、私も若い頃からそんな夢を密かに持っていた人間の一人です。幸運にも一人で地球を一周する(少し大袈裟ですが)という夢を実現することができました。
6月30日に成田を発ち、アメリカ、南アメリカ、アフリカ、ヨーロッパと周り9月1日に帰国しました。
以前、「八十日間世界一周」という映画がありましたが、私の旅は六十五日間でした。」


そうか、確かに誰でも憧れると思う。

でも学生の時でもないと、そんな時間は取れない。

そして時間が経つにつれ、非現実的なことになっていってしまう。

金澤さんは44歳、妻も子供もいる時に、実現させたわけか。

今の私よりはちょっと若いけど、ほぼ変わらない歳だ。 なんという。

ワクワクしてくる。

  続く



posted by kiuchi at 13:58| おじんの旅とロマン | 更新情報をチェックする

元祖世界一周男2

金澤さんに、34年前の話を聞く。

場所は、帝国ホテルのインペリアルクラブラウンジ。

金澤さんは、ビシッと高価そうなスーツに身を包んで現れた。

さすが。似合ってる。

いつもジムで見ている人とは、別人のようだ。

私も普段、こんな所に来ることはないので、少々緊張している。

スーツ着るなんて、下村の結婚式以来じゃないだろうか。

金澤さんは、高級スーツを慣れた感じで着こなしていて、こんな場所でも堂々としている。

気後れしてはいけない。

今日はトコトン、じっくり世界一周の話を聞くつもりで来た。

コンシェルジュのサービスなど、一切お断りして、話に入ることにした。

  続く




posted by kiuchi at 11:07| おじんの旅とロマン | 更新情報をチェックする

元祖世界一周男1

しつこいけど、今、國崎が世界一周中。

これはほとんどの人が知っている。

しかし、すでにそれをやった人が、うちのジムにいることはほとんど知られていない。

我がジム最年長の、金澤さんだ。

1984年6/30に成田空港を出発、9/1に帰国。

34年前のことだ。

約2ヶ月での世界一周だった。

このことについて、後日深く掘り下げていきたい。

  続く




posted by kiuchi at 10:30| おじんの旅とロマン | 更新情報をチェックする