今日はジムで、金澤さんから話を聞くことにした。
やはり、じっくり話してもらうには、ここが一番だろう。
「アメリカはとにかく広大です。
私の一人旅も日本を発ってからはや二十三日が過ぎました。持参した”地球の歩き方”という観光案内書を頼りに安い宿に泊まるのですが、観光の仕方としては、泊まったホテルのフロントで日帰り観光バスツアーを申し込み、参加するするのが一番手っ取り早く簡単な方法です。アメリカではガイドがほとんど英語で案内しますが、ヨーロッパではさすがに世界各国から観光客が来ているとみえ、英語、フランス語、スペイン語など言語ごとバスに分乗する方法などありましたが、一人で5ヶ国語くらい話すガイドもおりました。しかし残念ながら日本語を話すガイドにはお目にかかれませんでした。ただ、パリ市内観光バスには録音された案内をイヤホンで聞く装置が各座席についており、それには日本語が、またスイスの登山鉄道の車内放送にも日本語の説明がありました。
ラスベガスではちょっと奮発してナイトクラブ巡りツアーに参加したのですが、タキシードを着てる人、カクテルドレスの女性の中に、私だけTシャツにGパン、運動靴と言うしょぼくれた格好でトボトボとついて行きました。
南半球は冬ですので、冬物セーター、ジャンパーなどでかさばり、夏物としてはTシャツ4枚、Gパン2本だけでとてもおしゃれをする余裕などなかったわけです。
グランドキャニオンの上をセスナ機で飛び、副操縦席から見る”これぞアメリカ”と言う雄大な景色に感激したり、ロッキー山脈をバスで越えたり、大好きなデキシーランドジャズを聞きにニューオーリンズに行きました。
移動は大変ですが、空港のロビーで大好きな演歌をラジカセで聞きながらこれから行く所はどんな所かな?などといろいろな思いを巡らせながら一人ポツンと飛行機を待っている時が一人旅の孤独とロマンを感じられる一番素晴らしい時間でした。」
34年前のことを、まるで2〜3年前のことのように話してくれた。