相当仕事もしたと思う。
そのときの光景が、思い出されたのかもしれない。
気づいたら、夕日が差している。
話はいよいよ、日本から世界一周の旅へ出発する。
「成田からハワイ経由でロスアンゼルスへ向かったのですが、水平飛行に移るやいなや免税店で購入したブランデー「ナポレオン」を「歯磨きセット」についている黄色いプラスチックコップに注いで一人乾杯しました。(こんな高級ブランデーを貰い物ならともかく自分で買って飲むなんておそらく最初で最後だろうなと思いながら)
これはついに夢が実現できた幸運と、気持ちよく二ヶ月もの休暇を与えてくれた社長や会社の人々、そして自分の家族など、支援して下さった方々に対する感謝と同時に、自分なりに努力してきたこの三年間にねぎらいを込めて前から決めていたたった一人のセレモニーでした。」
そのときの光景が、思い出されたのかもしれない。
話は止まり、金澤さんの目は、しばらく遠くを見つめていた。
気づいたら、夕日が差している。
思ったよりも、時間が経っていたみたいだ。
今日は、これぐらいでいいだろう。
お礼を言い、次の約束をして別れた。
続く